住友生命の主張はなんだそれ? なぞなぞ?
住友生命の回答内容と労働者死傷病報告の提出時期についての疑問整理
住友生命から受領した公式回答の内容と、労働安全衛生規則に基づく死傷病報告の提出時期との 関係について、事実関係を説明します。
時系列整理表
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 令和3年7月 | 業務による負傷の可能性について会社へ連絡 |
| 在籍中 | 胸椎神経損傷および手指の負傷に関する診断書を会社に提出 |
| 令和4年1月 | 労災の療養補償給付請求(いわゆる5号様式)を提出(事業主確認・署名あり) |
| 令和4年10月12日 | 会社が労働者死傷病報告を提出 |
| 令和4年10月31日 | 労災認定(胸椎神経損傷・就労不能で長期療養 700日) |
事業者は、以下のような場合には、遅滞なく、労働者死傷病報告を労働基準監督署長に提出しなければなりません。(労働安全衛生法第100条、労働安全衛生規則第97条)
(1)労働者が労働災害により死亡し、又は休業したとき
(2)労働者が就業中に負傷、窒息又は急性中毒により死亡し、又は休業したとき
(3)労働者が事業場内又はその附属建設物内で負傷、窒息又は急性中毒により死亡し、又は休業したとき
※ 労働者死傷病報告を提出せず、若しくは、虚偽の報告をした場合は、いわゆる「労災かくし」として、50万円以下の罰金に処されることがあります。
■ 労災認定の状況 本件については、その後の調査により業務起因性が認められ、労災認定が行われています。
傷病は画像所見により胸椎神経損傷が確認され、長期の療養を要する状況となっています(就労不能期間:700日)。
■ 会社から回答箇所
- 2.〇B氏より脊椎の異常ならびに手指の負傷は業務に起因するものだと言われたと連絡はありましたが、業務起因性に関して当方では判断ができません。
- 8.〇労災調査には誠実に対応しており、当時の提出書類にも業務と因果関係については医師等の判断に委ねると記載しています。なお、虚偽を続けていた事実その他労災調査に対する隠ぺい行為はありません
- 9.〇5号申請での労災請求を把握しています。また、上記8に記載のとおり、業務と休業の因果関係については、弊社では判断がつかないものでしたが、以降の調査に対しても誠実に対応しています。なお、在籍時の診断書には休業の記載はなく、 かつ、B氏からも当時は休業や労災請求の申し出はなかったことから、当該診断書の送付をもって死傷病報告義務が発生するとの認識はなく、死傷病報告の遅延とはみなされないと判断してい ます。
住友生命からの回答の問題点
- 2.在籍時に既に住友生命は業務負傷である旨の連絡があったことを認めています。
⇒令和3年7月には業務負傷と聞いている
⇒業務起因性は労基署が判断するもので住友生命が何か言う必要はありません - 9.在籍時に診断書を受け取ったことを認めています。
従って
「B氏からも当時は休業や労災請求の申し出はなかったことから、当該診断書の送付をもって死傷病報告義務が発生するとの認識はなく、死傷病報告の遅延とはみなされないと判断しています。」
労災の療養補償給付請求(いわゆる5号様式)を提出したのが令和4年1月、
それ以後の令和4年10月12日付の日付で労働者死傷病報告書を提出している時系列から、
この理屈は成立しません。
労働者死傷病報告書は、労働者が仕事中に負傷・死亡(休業1日以上)した場合に、
労災保険の請求に関わらず、労働安全衛生法に基づき事業主が所轄の労働基準監督署へ遅滞なく提出する報告書です。
本件の場合、四半期ごとの報告も提出されておらず、令和4年10月12日付で負傷日から14か月以上経過後に提出した死傷病報告書は”遅滞なく提出した”といえるのでしょうか?
■ 法的根拠
(労働者死傷病報告)
第九十七条 事業者は、労働者が労働災害その他就業中又は事業場内若しくはその附属建設物内における負傷、窒息又は急性中毒により死亡し、又は休業したときは、遅滞なく、様式第二十三号による報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
2 前項の場合において、休業の日数が四日に満たないときは、事業者は、同項の規定にかかわらず、一月から三月まで、四月から六月まで、七月から九月まで及び十月から十二月までの期間における当該事実について、様式第二十四号による報告書をそれぞれの期間における最後の月の翌月末日までに、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
| 区分 | 提出期限 |
|---|---|
| 休業4日以上 | 遅滞なく提出 |
| 休業4日未満 | 四半期ごとに提出 |
| 未提出・虚偽 | 労働安全衛生法違反(罰則の可能性) |
【参考】4日未満の休業で労働者死傷病報告書を提出せず送検された例
福岡労働局 令和5年3月2日送検
R04_労働基準関係法令違反に係る公表事案.pdf の 65 ページを開く
結論
- 労働基準監督署はこれまで提出された資料により労働者死傷病報告書の提出遅延を確認しながら、住友生命に対して何ら行政処分を行っておらず、このことから
死傷病報告の遅延とはみなされないと判断しているのではないかと推測できます。
■ まとめ
本件の事実関係を整理すると、
・会社は在籍中に業務負傷の可能性を把握していた
・診断書を受領していた
・労災請求について事業主確認を行っていた
・しかし、死傷病報告の提出まで約14か月を要した
・会社は遅延には当たらないとの見解を示している
これらの事実と労働安全衛生規則との関係については、引き続き検証が必要と考えられます。 本記事は、個人情報公開資料および住友生命からの回答内容に基づき、事実関係の整理を目的として作成しています。
